新型コロナウイルスに感染した子どもにみられる「多系統炎症性症候群」は、どのような特徴があるのか?

新型コロナウイルス

新型コロナウイルスに感染した子どもは、軽症で済むことが多いことは、すでに多数の報告から知られています。しかし、「多系統炎症性症候群」という川崎病ににた症状がみられる子どもたちがいることも知られています。今回は、アメリカの経験を共有します。

Feldstein LR, Rose EB, Horwitz SM, et al. Multisystem Inflammatory Syndrome in U.S. Children and Adolescents. N Engl J Med 2020; 383:334-346 DOI: 10.1056/NEJMoa2021680

米国全土の小児病院の入院患者データを検証した

小児における多系統炎症性症候群(MIS-C)の疫学と臨床経過、および新型コロナウイルス感染症との時間的関連を理解することを目的に、調査が行われました。

米国全土の小児医療センターにおいて、MIS-C の標的型サーベイランスを 3 月 15 日から 2020 年 5 月 20 日まで実施しています。

調査対象の定義は、入院に至るほど重篤であること、年齢が 21 歳未満、少なくとも 24 時間続く発熱を認めること、炎症の臨床的証拠があること、多臓器に影響している証拠があること、および逆転写酵素ポリメラーゼ連鎖反応(RT-PCR)・抗体検査・または過去 1 ヵ月間に 新型コロナウイルスに感染した人への曝露の証拠という 6 つの基準が含まれました。

MIS-Cの患者は186例も存在した!

26 州から MIS-C 患者 186 例が報告されました。

年齢中央値は8.3歳、115例(62%)は男性、135例(73%)は基礎疾患を有していませんでした。

131例(70%)はRT-PCRまたは抗体検査で新型コロナウイルス陽性、164例(88%)は2020年4月16日以降に入院していました。

臓器系の関与は、消化器系が171例(92%)、循環器系が149例(80%)、血液系が142例(76%)、粘膜皮膚が137例(74%)、呼吸器が131例(70%)でした。

MIS-Cの患者のうち80%は集中治療室で治療を受け、2%が死亡していました

入院期間中央値は7日(四分位間範囲、4~10日)で、148例(80%)が集中治療を受け、37例(20%)が機械的人工呼吸を受け、90例(48%)が血管作動性補助を受け、4例(2%)が死亡していました。

冠動脈瘤(zスコア2.5以上)は15人(8%)の患者に認められ、川崎病様の特徴は74人(40%)に認められました。

ほとんどの患者(171例[92%])では、炎症を示す少なくとも4つのバイオマーカーが上昇していました。

免疫調節療法が治療薬として用いられていました:144例(77%)に免疫グロブリンの静脈内投与、91例(49%)にグルココルチコイド、38例(20%)にインターロイキン-6または1RA阻害剤が使用されました。

新型コロナウイルスに関連した小児における多系統炎症性症候群は、以前は健康だった小児および青年に重篤で生命を脅かす状態にまで悪化させました。

確かに新型コロナウイルスは子どもで重症化する可能性が低いと考えられていますが、この病態は要注意です。

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