いろんなものを口に入れてしまう子どもは、時に飲み込んでしまいます。多くは胃のなかに落ちますが、なかには食道に止まってしまうことがあります。ボタン電池であれば、一刻を争って食道内から取り除くべきですが、それ以外の異物の扱いについては、まだ不明な点があります。今回の調査は、その不明点に解決のヒントを与えるものです。
Esparaz JR, Carter SR, Mathis MS, et al. Esophageal Foreign Body Management in Children: Can It Wait? J Laparoendosc Adv Surg Tech A. 2020 Oct 29. doi: 10.1089/lap.2020.0636. PMID: 33121359DOI: 10.1089/lap.2020.0636
食道異物を除去するタイミングの違いで大きな違いはないと仮説を立て検証した
小児の異物誤飲は、救急外来受診の一般的な理由の一つです。
ボタン電池の誤飲は外科的緊急事態として認識されており、即時の摘出が必要となります。
その他の異物の除去のタイミングについては、まだ議論の余地があります。
今回は、食道にある異物を除去するために、翌朝まで待つ場合と夜間に行う場合で、合併症の発生率や成功率に差がないという仮説を立て検証しました。
ボタン電池の誤飲を除く、273人のデータを分析した
2015年11月から2019年11月までに、小児外科または小児消化器内科で食道異物除去を行った症例を対象に、後方視的に分析を行いました。
患者は、救急外来への到着時間を昼間(05:00~16:59)と夜間(17:00~04:59)の2つのグループに分けました。
また、画像検査で食道異物が確認された患者を対象にしています。
収集したデータには、基本的な属性に関する情報、受診時間、処置に要した時間、症状、異物の位置、30日以内の合併症が含まれています。
ボタン電池を除いた後、273人の小児が食道異物摘出術を受けており、今回の対象になっています。
翌朝まで処置を待っても大きな影響はないことがわかりました
受診患者の3分の2は、夜間に救急室を受診していました。
昼間(194.8分;四分値間範囲[IQR]:108.5-347)と夜間(643分;IQR:471.5-745;P < 0.001)を比較すると、救急外来から処置を行う手術室までに要した時間の中央値には、有意な差が認められました。
手技後30日以内に合併症または再入院を必要とした小児は9例、異物の胃内への移行を起こした患者は25例で、いずれも両群で有意な差はありませんでした(それぞれP = 0.94;P = 0.98)。
食道異物除去時の合併症の発生率や成功率は、翌朝まで待ったとしても影響は最小限であることがわかりました。
翌朝まで待機することができれば、人員が限られている施設では、より緊急な緊急事態に備えてリソースとスタッフを確保することができます。
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