自然環境のなかで育児された子どもたちは免疫機能が強くなる?

子育て・ホームケア
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自然環境に触れていると、精神的に落ち着きます。また農場での生活経験(特に小児期の)がアレルギーリスクの低下に関連することなど、体にも良い影響を与えることがわかっています。しかし子どもたちの育児を自然のなかで行うと、どのような影響があるのか、まだ不明なところもあります。今回は特に免疫機能への影響を評価した研究です。

Roslund MJ, Puhakka R, Grönroos M, et al. Biodiversity intervention enhances immune regulation and health-associated commensal microbiota among daycare children. Science Advances  14 Oct 2020: Vol. 6, no. 42, eaba2578. DOI: 10.1126/sciadv.aba2578

生物多様性を都市の環境に持ち込むことで、子どもたちの免疫機能が変化するかを調べる研究を実施した

先進国では免疫性疾患に罹患するこどもたちが急増しており、これらの疾患と闘うための新たな予防法の必要性が叫ばれています。

本研究は、子どもの保育環境の生物多様性をコントロールして、小児の常在菌叢と免疫調節への影響を検討した初のヒトへの介入研究です。

都市型保育園と自然志向型保育園の子どもたちを比較しました

対象とされたのは、フィンランドの計10カ所の保育園に通う、3~5歳の子ども75人です。

28日間の生物多様性介入期間中の子どもたちの皮膚や腸内細菌叢、血液免疫マーカーの変化を分析しました。また比較のために、標準的な都市型保育園と自然志向型保育園の子どもたちを分析しました。

これら10園のうちの4園(介入群)には、砂利が敷かれた園庭に森の土や芝生、草を敷き詰め、一年生植物のプランターや子どもたちがよじ登って遊べるブロック状の泥炭を用意した(自然志向型保育園)。これ以外の6園は対照群とした。

介入群の園児の皮膚において、ガンマプロテオバクテリアの多様性が高まっていることが確認された

介入群は、環境と皮膚のガンマプロテオバクテリア群集の両方を多様化させ、その結果、血漿TGF-β1レベルと調節性T細胞の割合の増加と関連していました。

また、血漿中のIL-10:IL-17Aの比率は、試験期間中に介入した子供たちの間で増加していました。

これらの知見は、生物多様性の介入が免疫調節経路を強化することを示唆しており、都市社会における免疫介在性疾患のリスクを低減するための将来の予防的アプローチへの方向性を提供するものです。

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