脳しんとうは、頭部外傷後みられる一過性の症状です。一回だけで大きな問題になることは限られていますが、繰り返し起こすと将来認知の障害など、大きな問題に発展することが知られています。つまりできる限り繰り返し起こさないようにすることが大切です。今回は、繰り返し脳しんとうを起こしてしまうリスクを検証しました。
Van Lerssel J, Osmond M, Hamid J, et al. What is the risk of recurrent concussion in children and adolescents aged 5-18 years? A systematic review and meta-analysis. Br J Sports Med. 2020 Oct 19;bjsports-2020-102967.
脳しんとうの再発リスクを検証しました
脳しんとうの既往歴のある小児が、再び脳しんとうを起こすリスクを検討することを目的とした。
システマティックレビューとメタアナリシスを検討しています。
主要アウトカムは、各研究期間内に脳しんとうと診断された小児の数としています。
これは過去に脳しんとうを起こしたかどうかにかかわらず、脳しんとうを起こしたことがアウトカムです。
ランダム効果モデルを用いて、プールされたリスク比(RR)と対応する95%CIを推定しています。結果はフォレストプロットで要約しました。
4つの電子データベース(MEDLINE、Embase、CINAHL、SPORTDiscus)および選択された参考文献リストが検索されています。
適格基準は次のことが含まれる、査読つき英文論文です。<脳しんとうの既往歴の有無にかかわらず、5~18歳の小児の脳しんとうリスクを比較し、または計算可能なリスク推定値が報告されている論文>
23,411人を含む7件の論文が対象となった
特定された732件の研究のうち、23 411人の小児を対象とした7件の研究がメタ解析に含まれました(バイアスのリスク範囲は7~9、可能な最大スコアは9)。
脳しんとうを起こすリスクは、脳しんとうを起こしたことのある小児では、脳しんとうを起こしたことのない小児と比較して3倍以上高くなっていました(RR=3.64;95%CI:2.68~4.96;p<0.0001;I 2=90.55%)。
性別のデータを検証したが、男性選手と女性選手の脳しんとうリスクを直接比較することはできなかった。
脳しんとうを起こしたことのある子どもは、既往のない子どもに比べ、再発リスクが4倍近くあった
脳しんとうを起こしたことのある子どもは、脳しんとうの既往歴のない子供に比べて4倍の脳しんとうを起こすリスクがありました。
このことは、子どもがスポーツに戻る判断をする際に、臨床医が考慮すべきことである。
青少年スポーツにおける脳しんとうの再発を検討する今後の研究では、性差を考慮しなければならない。
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