鼻をぶつけて出血すると、鼻の骨が折れていないか心配になります。通常X線写真で診断をすることは難しく、かといってCTスキャンを撮るのも被爆のことを考えると簡単にはできません。そのようなとき、超音波検査が有用です。今回は、その超音波検査で鼻骨骨折を診断することに関する調査です。
Goskcen E, Savrun A, Kusdogran M, et al. Ability of Bedside Ultrasonography to Detect Pediatric Nasal Bone Fractures. Laryngscope. 2020 Oct 3. doi: 10.1002/lary.29168
鼻骨骨折の診断に超音音波検査がX線検査に代わるものになるかを調査した
本研究の目的は、小児鼻外傷患者におけるベッドサイド超音波検査の診断検査の特徴を評価し、従来のX線撮影(CR)に代わる好ましい方法であるかどうかを検討することです。
本プロスペクティブ研究は、2019年3月1日から2019年11月1日まで実施しました。
鼻への外傷を受けた 18 歳未満の患者 31 例を対象としています。
鼻骨骨折の臨床適応を有する患者を対象に,CR と超音波画像検査を検討した.
鼻骨骨折の検出に関して、超音波検査とCRの感度、特異度、精度をゴールドスタンダード法に基づいて算出しています。
超音波検査の感度72%、特異度77%、X線検査は感度61%、特異度69%であった
参加者は3~16歳で、年齢中央値は8歳(5~13歳)でした。
鼻骨骨折は18人の患者で臨床的に検出された。
これらの骨折のうち13例は超音波検査で検出されたが、CRでも検出されたのは11例のみでした。
鼻骨骨折の検出における超音波検査とCRの感度と特異度は、超音波検査で72.2%(95%信頼区間[CI]:46.5-90.3)、76.9%(95%CI:46.2-95.0)、CRで61.1%(95%CI:35.8-82.7)、69.2%(95%CI:38.6-90.9)でした。
X線の被曝のことも考えると、超音波検査は十分に使用できる検査法だと言えます
本研究の結果によれば、超音波検査は、特に放射線の影響を可能な限り避けることを考慮して、鼻骨骨折の検査方法の最初のステップとして、自信を持って使用できる可能性があります。
本研究の結果は、小児における超音波検査の診断検査の特徴を明らかにするために、より多くの患者を対象とした臨床試験を実施することが必要となります。
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