新型コロナウイルスのワクチン開発が世界中で進められています。まだ実際に接種ができるようになるまでは、もう少し時間が必要ですが、果たして世のなかの保護者は、自分の子どもたちに新型コロナウイルスのワクチンを接種させたいと思っているのでしょうか?今回はその疑問に答える調査です。
Goldman RD, Yan TD, Seiler M, et al. Caregiver willingness to vaccinate their children against COVID-19: Cross sectional survey. Vaccine. 2020 Nov 10;38(48):7668-7673. doi: 10.1016/j.vaccine.2020.09.084. Epub 2020 Oct 10.
過去のパンデミックの際、子どもへのワクチン接種率は40%ほどでした
2020年1月にSARS-CoV-2遺伝子配列が発表されて以来、100種類以上のCOVID-19ワクチン候補が開発されています。
集団免疫では人口の80%までのワクチン接種率が必要となる可能性があるため、COVID-19ワクチンの小児への普及は、本疾患の蔓延を抑える上で重要な役割を果たすことになります。
ちなみに、過去のパンデミックワクチンの接種率は、2009年のH1N1インフルエンザパンデミックの際には、米国の子どもたちの間で40%という低率でした。
COVID-19ワクチンが利用可能になった際に、養育者が子どもにCOVID-19ワクチンを接種する意思と関連する予測因子を調査しました。
救急室を受診した保護者を対象に、アンケート調査を実施しました
2020年3月26日から5月31日までの間に、6カ国にまたがる16の小児救急外来(ED)に子どもと一緒に到着した1541人の保護者を対象に、横断的調査を実施しました。
65%の保護者が子どもへのワクチン接種を希望していました
65%(n = 1005)の養育者が、ワクチンが入手可能になったら、COVID-19に対するワクチンを子どもに接種するつもりであると報告しました。
一変量解析およびその後の多変量解析により、接種が増える保護者の意図は、年齢が高い子ども、慢性疾患のない子ども、父親が調査を完了した時期、最新のワクチン接種スケジュールを持っている子ども、インフルエンザに対する最近のワクチン接種歴、および救急室での調査完了時に子どもがCOVID-19に罹患していることを心配している養育者と関連していることが明らかになりました。
ワクチン接種を希望する理由として最も多かったのは子どもを守るため(62%)であり、接種を拒否する理由として最も多かったのはワクチンの新しさ(52%)でした。
大多数の養育者はCOVID-19に対するワクチン接種を意図していましたが、接種率は子どもや養育者の人口統計やワクチン接種歴などの特定の要因と関連している可能性が高いようです。
公衆衛生の戦略として、今後のCOVID-19ワクチンの安全性と有効性に関するエビデンスを提供し、子どもの感染のリスクと結果を強調し、予防接種の役割について養育者を教育することによって、接種の障害に対処する必要があるでしょう。
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