ペットを買うことは、小さい子どもにとって情緒の発達などの面で良い影響を与えます。特に動物が好きな子どもにとっては尚更です。しかし、愛するペットが亡くなることが、子どもの精神面にどのような影響を与えるのかについては、まだよく知られていません。ペットとの死別は避けられない問題ですが、その課題に取り組んだ研究です。
Crawford KM, Zhu Y, Davis KA, et al. The mental health effects of pet death during childhood: is it better to have loved and lost than never to have loved at all? European child & adolescent psychiatry. 2020 Sep 10; doi: 10.1007/s00787-020-01594-5..
「全く愛さないよりも、愛して失った方が良い」のか?
ペットを飼うことは一般的です。子どもたちが、ペットを飼うことで動物に深い感情的な愛着を抱くことを示唆する証拠が増えています。
しかし、ペットの死に対する子どもの感情的反応についてはほとんど知られていません。
そこで、ペットの死の経験と小児期の精神病のリスクとの関係を分析し、「全く愛さないよりも、愛して失った方が良い」のかどうかを判断することを目的に、本研究を行いました。
6,260人の子どもたちを追跡した
データは、英国を拠点とするプロスペクティブ出生コホート(n = 6260)である Avon Longitudinal Study of Parents and Children から得たものです。
子どもたちは、出生から7歳までのペットの所有とペットの死への暴露に基づいて、分類されました(ペットを一度も愛したことがない・・ペットを所有したことがない;愛するペットがいるが死別していない;愛するペットがおり、死別した)。
8歳時の精神病理症状を多変量線形回帰を用いて群間で比較しました。
愛するペットの喪失を経験した子どもの方が、精神病理症状が高かった!
他の逆境を調整した後でも、愛するペットの喪失を経験したことのある子どもでは、愛するペットの喪失を経験したことのない子どもに比べて精神病理学症状が高くなっていました(β=0.35、p=0.013;95%CI=0.07、0.63)。
この群効果は、女性よりも男性の方が顕著でした。
愛するペットの喪失を経験したことのある子どもと、愛したことのない子ども(ペットを所有したことのんあい子ども)との間には、精神病理症状に差はありませんでした(β=0.20、p=0.31、95%CI=-0.18-0.58)。
ペットの死の発達時期、再発性、または蓄積は、精神病理症状とは無関係でした。
「全く愛さなかったことよりも、愛して失ったことの方が良い」とは言えない
ペットの死は子どもにとってトラウマとなり、その後の精神衛生上の困難と関連している可能性があることがわかりました。
幼少期にペットの所有とペットの死別が関係している場合、Tennysonの宣告は子どもの悲嘆反応には当てはまらないかもしれません:「全く愛さなかったことよりも、愛して失ったことの方が良い」とは言えないかもしれません。
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