尿路感染症と診断された赤ちゃんに髄液検査は必要なのか?

小児救急医のキモ

赤ちゃんが尿路感染症だと、多くのリスク層別化アルゴリズムにおいて、発熱している赤ちゃんは重症感染症に対する高リスク群に分類されます。しかし、尿検査陽性の赤ちゃんに髄膜炎の感染を想定した検査を行わないことのリスクについては、ほとんど知られていません。今回は尿路感染症と髄膜炎の合併感染があるのかについて調べた研究です。

Wang ME, Biondi EA, McCulloh RJ, et al. Testing for Meningitis in Febrile Well-Appearing Young Infants With a Positive Urinalysis. Pediatrics September 2019,  144 (3) e20183979; DOI: https://doi.org/10.1542/peds.2018-3979

尿路感染症が判明した赤ちゃんの髄膜炎の感染について調べました

尿検査が感染症に対して陽性である発熱した乳児における脳脊髄液(CSF)検査に関連する因子を明らかにし、CSF検査を行わずに尿路感染症(UTI)の治療を受けた乳児における細菌性髄膜炎の診断が遅れる確率を評価することを目的に調査は行われました。

「乳児の敗血症に対する評価の過剰対応を低減させる」という品質改善プロジェクトのデータを用いて、後方視的研究を実施しました。

2015年から2017年までに124病院に受診した生後7~60日の健常であり、発熱した乳児20人570人を対象としました。

髄液(CSF)検査に関連する因子を決定するために、混合効果ロジスティック回帰を実施しました。遅発性髄膜炎は、退院後7日以内に細菌性髄膜炎の新規診断を受けたものと定義しています。

尿路感染症と診断された赤ちゃんの7割が髄液検査を受けていました

全体では、3572人の乳児で尿検査が陽性でした。

そのうち2511人(70.3%)がCSF検査を受けていました。

髄液検査の実施率は施設によって大きく異なり、生後7~30日目の乳児では64%~100%、31~60日目の乳児では10%~100%であった。

CSF検査と関連する因子には、年齢7~30日齢(調整オッズ比[aOR]:4.6;95%信頼区間[CI]:3.8~5.5)、炎症性マーカー異常(aOR:2.2;95%CI:1.8~2.5)、および年間300人以上の発熱児を診療する(aOR:1.8;95%CI:1.2~2.6)が含まれていました。

尿路感染症と診断された赤ちゃんに髄膜炎の検査を行わなかったことによる問題は発生していませんでした

CSF検査を行わずにUTIの治療を受けた505人の乳児のうち、遅発性髄膜炎の症例は0例(95%CI:0%-0.6%)でした。

尿検査が陽性の発熱児におけるCSF検査には大きなばらつきがあった。

尿路感染症の治療を受けた乳児(主に生後31~60日の乳児)では、退院後7日以内に遅延性髄膜炎を発症した例はいませんでした。

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