歩き始めの乳児に乳児用歩行器を使用すると、運動能力が向上するため、危険な状況、特に階段からの転落にさらされる可能性があります。乳児用歩行器に関連した事故は、1990年代半ば以降減少していますが、乳児用歩行器は依然として子どもの外傷の原因となっています。今回はその外傷の状況を調査した報告です。
Ariel Sims, Thitphalak Chounthirath, Jingzhen Yang, Nichole L. Hodges and Gary A. Smith
Sims A, Chounthirath T, Yang J, et al. Infant Walker–Related Injuries in the United States. Pediatrics October 2018, 142 (4) e20174332; DOI: https://doi.org/10.1542/peds.2017-4332
アメリカの救急室で治療をうけた乳児歩行器関連の事故を調査しました
米国の救急室で治療を受けた、生後 15 か月未満の小児の乳児歩行器関連外傷の疫学的特徴を調査し、2010 年の連邦政府の義務的安全基準がこれらの外傷に及ぼす影響を評価することを目的としました。
1990年から2014年までのNational Electronic Injury Surveillance Systemのデータを分析しました。
約25年間で23万人近い受傷者がいました
1990年から2014年までの間に、推定230,676人の生後15か月未満の小児が、米国の救急治療室で乳児歩行器に関連した外傷の治療を受けていました。
子どものほとんどが頭部または頸部の損傷(90.6%)を受け、74.1%が乳児歩行器で階段から転落して負傷していました。
入院した患者(4.5%)のうち、頭蓋骨骨骨折は37.8%でした。
15年間で負傷者は8割以上減少した!
1990年から2003年までにかけて、乳児歩行器関連の負傷者全体では84.5%、階段からの転落による負傷者全体では91.0%減少しました。
連邦政府の義務的な安全基準を実施した後の4年間では、基準実施前の4年間と比較して、年間平均の負傷者数は22.7%減少しました(P = 0.019)。
2010年に連邦政府の義務的安全基準が実施された後、乳児歩行器に関連した外傷は減少していました。
この減少は、基準に加えて、乳児用歩行器の使用者が減少したことや、家庭内での乳児用歩行器の数が減少したことなど、他の要因に起因している可能性があります。
ただ外傷の減少にもかかわらず、乳児用歩行器は、幼児の怪我の重要かつ予防可能な原因となっていることに変わりはなく、米国小児科学会が米国内での乳児用歩行器の製造・販売禁止を求めることを支持しています。
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