子どもの新型コロナウイルス感染症の特徴:合併する感染症が多い?

新型コロナウイルス

成人の新型コロナウイルス感染症については、多くの報告がありますが、子どもの感染症の特徴については、まだ限られた情報しかありません。今回の論文は、合併する感染症についてです。子どもは確かに感染症にかかりやすい特徴がありますが、具体的にどのような感染症が合併していたのか、解説したいと思います。

Wu Q, Xing Y, Shi L, et al. Coinfection and other clinical characteristics of COVID-19 in children. Pediatrics. July 2020, 146(1) e20200961; DOI: https://doi.org/10.1542/peds.2020-0961

武漢小児病院からの報告:やはり軽症患者が多く、家族から感染することが多い

2020年1月20日から2月27日に、武漢小児病院に新型コロナウイルスのために入院治療を必要とした子どもたちが対象です。74人からデータを集めて解析しました。

発症から診断まで中央値が2日(四分位範囲/IQR: 1-6日)、発症から入院3日(IQR:1-6日)、入院から退院11日(IQR:9-14日)となっていました。

感染源:65例(68例中65例;95.6%)は家庭内で成人患者に接触していました。子どもから成人に感染が広がったという事例はありませんでした。

発症時の主な症状は咳(32.4%)と発熱(27.0%)でした。また症状の子どもは30人(40.5%)いました。うち10人は、症状はないもののレントゲンから肺炎と診断されています。重症肺炎となったのは1人だけでした。なお重症化した子どもは13歳の男児で、体重が85kgありました。

武漢小児病院からの報告:半数に新型コロナウイルスとともに別のウイルスやマイコプラズマが合併していた

34人(46.0%)に対して、一般的な呼吸器感染症の病原体の検査が行われましたが、そのうち19人(51.4%)に新型コロナウイルス以外の病原体との共感染が認められました。その内訳はマイコプラズマ肺炎が11人、MPとRSウイルスが2人、MPとEBウイルスが2人、サイトメガロウイルス(CMV)が2人、CMVとEBVが1人、MP、インフルエンザA・B、RSVが1人でした。

武漢小児病院からの報告:糞便からの方が長期間ウイルスが検出されました

糞便検体のリアルタイムPCR検査を行った小児患者は10人(13.5%)いて、そのうち8人は鼻咽頭からウイルスが陰性化しても、長期間新型コロナウイルスが検出されました。糞便のウイルスが陰性になるまでは、中央値で11日かかりました。

まとめ

新型コロナウイルスの小児患者は、成人患者より軽症ですむことが多いことがわかりました。

感染した子どものほぼ半数は、他の一般的な呼吸器病原体に感染していました。

小児患者では、回復期に新型コロナウイルスの糞便排出が長期化することは珍しくないようです

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