新型コロナウイルス感染による親子間の精神的幸福感の変化

新型コロナウイルス

新型コロナウイルスの感染拡大のため、子どもたちは通学だけでなく外で遊ぶことも制限されました。大人も自宅にいる時間が長くなり、家族内の人間関係に何らかの影響を及ぼしたことが窺えます。では具体的にどのようなことが起こったのでしょうか?精神的な幸福感に着目し、影響を調べてみた調査です。

Gassman-Pines Am Ananat O, Fitz-Henley J. COVID-19 and Parent-Child Psychological Well-being. Pediatrics October 2020,  146 (4) e2020007294; DOI: https://doi.org/10.1542/peds.2020-007294

親子の日常に関する情報を集めることで精神的幸福感の変化を検証しました

新型コロナウイルス感染症の発生は、変化をタイムリーに捉えることが難しい形でアメリカ社会を変えてしまいました。

本研究では、危機が始まる前と後に収集された日常的な調査データを活用し、危機が親子の心理的な幸福感を悪化させたという仮説を調査しました。

また、危機に関連した苦難の程度を調べ、苦難の蓄積が親子の心理的幸福と関連しているという仮説を評価しました。

方法:2020年2月20日から4月27日の間に、米国の大都市で幼い子ども(2~7歳)を持つ時給制サービス労働者から毎日の調査データを収集しました(645人のうちN=8222人/日)。

サブサンプルは、3月23日から4月26日の間に行われた危機の影響についての1回限りの調査を完了しました(サブサンプルn=561)。

親のネガティブな感情は危機が始まってから増加、親子の感じた幸福感とも連携していた

順序付きプロビットモデルにより、親が報告した毎日のネガティブな気分の頻度は、危機が始まってから有意に増加していることが明らかになりました。

多くの家族が危機の間に、仕事の喪失、収入の喪失、介護の負担、病気などの苦難を経験していました。

危機後の親と子どもの幸福度は、家族が経験した危機関連の苦難の数と強く関連していました。

私たちの仮説と一致して、新型コロナウイルス感染症の危機に関連した複数の苦難を経験した家族では、親と子の両方の精神的な健康状態が悪化していました。

危機の展開が続く中、小児科医は、危機の経済的・疾病的側面から特に脆弱な家族を持つ子どもたちに特に注意を払いながら、メンタルヘルスのスクリーニングを行うべきでしょう。

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