新型コロナウイルスに感染した子どもにおけるウイルス排泄と抗体産生の関係

新型コロナウイルス

新型コロナウイルスに感染した子どもは軽症患者が多いこと、軽症であってもウイルスは持っていて、周囲の人たちに感染させる可能性があることなど、子どもの感染者の特徴が色々わかってきています。今回は、ウイルスの排泄と抗体産生の関係について調べた調査です。

Bahar B, Jacquot C, Mo YD, et al. Kinetics of viral clearance and antibody production across age groups in SARS-CoV-2 infected children. Journal of Pediatrics. 2020 Sep 02; pii: S0022-3476(20)31114-8.

新型コロナウイルスに感染した子どもたちに行ったPCR検査と血液検査を元に解析しました

新型コロナウイルス感染症の小児患者における、ウイルス感染からウイルス消失(体内からいなくなること)への移行、および抗体反応についての理解を深めるために、この研究は行われました。

2020年3月13日から2020年6月21日までの間に、小児病院においてRT-PCRおよびIgG抗体による新型コロナウイルスの検査を受けた小児患者の後方視的解析では、PCR検査を受けた6,369人の患者と抗体検査を受けた215人の患者が含まれていました。

研究期間の初期では、検査は主に症状のある子どもに焦点が当てられていましたが、研究期間の後期では、入院前または前段階のスクリーニングとして検査を受けた無症状の患者が含まれていました。

そこで得られた情報から、抗体検査の陽性と陰性の割合、ウイルス消失までの時間、および血清抗体が陽性になるまでの時間を報告します。

ウイルス消失までは約20日を要していた:年少児、女児の方が陰性化までに時間がかかっていました

PCR検査の陽性率は、地域社会でのウイルスの感染拡大の状況と、検査対象を症状のある患者から入院患者を対象としたより普遍的なスクリーニングへ移行したことにより、時間の経過とともに変化していました。

ウイルス消失期間(RT-PCR陽性)の中央値は19.5日であり、RT-PCR陽性から陰性になるまでの期間は25日でした。

特筆すべきは、6~15歳の患者では、16~22歳の患者に比べてRT-PCRの結果が陽性から陰性になるまでの期間が長かったことです(中央値=32日 vs 18日、P = 0.015)。

また性別を調整すると、6~15歳の女児は、6〜15歳の男児と比べて、体内からウイルスが排除されるまでの期間が有意に長いことも分かりました(中央値44日対25.5日、P=0.02)。

33人の患者のうち、17人はまだPCRが陽性の期間中に十分な中和抗体値の上昇を示した

RT-PCR陽性から血清抗体が陽性になるまでの期間の中央値は18日でしたが、中和抗体の十分なレベル(プラーク減少中和検査で160価に匹敵すると定義)に到達するまでの期間の中央値は36日でした。

新型コロナウイルスに感染した子どもたちは、長期間のウイルスを排泄していました。

33人の患者のうち、17人はまだPCRが陽性の期間中に十分な中和抗体値の上昇を示しました。

スパイク構造タンパク質に対するIgG抗体が免疫と相関するかどうか、また、抗体と感染防御能力がどのくらいの期間持続するかは、まだ不明です。

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