子どもの電子メディア(TVやコンピューター、ビデオゲームなど)の長時間使用と、肥満や睡眠不足が関係することが、過去の報告から明らかです。しかし電子メディアの使用は、情報入手やコンピューターリテラシーなどの面で利益があることもわかっています。ただ学力との関係は、まだわかっていませんでした。今回はこの疑問に答える調査です。
Mundy LK, Canterford L, Hoq M, et al. Electronic media use and academic performance in late childhood: A longitudinal study. PloS one. 2020;15(9);e0237908. doi: 10.1371/journal.pone.0237908.
幼児期末期におけるメディア利用が学業成績に及ぼす影響を前向きに検討した
8-9歳の児童1,239人とその保護者を対象に、前向きで縦断的な研究への参加を呼びかけました。
学業成績は、ベースライン時と10-11歳時に実施された、オーストラリアの全国学力テストで測定しました。
また保護者は、子どもの電子メディア利用期間を報告しました。
2時間以上のテレビの視聴、1時間以上のPCの使用と学力低下が関係していた
ベースラインの読解力をコントロールした後、8-9歳で1日2時間以上テレビを見ると、10-11歳で読解力が12ポイント低下することが予測されました。これは、1年間の学習したものを3分の1を失うことに相当します。また8-9歳の時点で1日2時間を超えてテレビを見ていた子どもは、視聴時間が1時間以下だった子どもに比べて、10-11歳時点での読解力関連のテストの点数が低く、4か月分の学習の遅れに相当することが明らかになった。
またコンピュータを1日1時間以上使用すると、同様に12ポイントの数値能力の低下が予測されました。
メディア使用の数値能力に対する横断的な関連性(短期的な効果を捉えるものと推定される)については、事前のメディア曝露をコントロールした後、10-11歳で1日2時間以上のテレビ視聴は12ポイントの数値能力の低下と同時に関連し、1日1時間以上のコンピュータの使用は13ポイントの数値能力の低下と同時に関連していました。
ただし、ビデオゲームと学力低下に関係はみられませんでした
なおビデオゲームの使用と学業成績との間に短期的・長期的な関連性を示す証拠はありませんでした。
テレビの累積的な利用は読解力の低下と関連しており、コンピュータの累積的な利用は数字能力の低下と関連していました。
これらの結果は、メディアの多用と肥満、身体活動、精神的健康などの健康リスクとの関連性にとどまらず、幼児期の学習にテレビとコンピュータの両方を使用することが、さらなるリスクとなる可能性を示唆するものである。
これらの知見は、親、教師、臨床医が子供のためのメディア計画を開発する際に、メディアへの露出の種類とタイミングを考慮することを示唆しています。
コメント