新型コロナウイルスは、子どもに感染してもあまり重症化しないと報告されています。ではどのような特徴があるのでしょうか?
今回は、複数の論文をまとめて整理して検証する、メタ解析(アナリシス)という手法を用いた研究報告です。
次の論文を参考にしています。Ding Y, Yan H, and Guo W. Clinical characteristics of children with COVID-19: A meta-analysis. Front Pediatr. 2020;8:431. Published online 2020 Jul 3. doi: 10.3389/fped.2020.00431
195件の研究のうち、33件を選択し、14件(371例)をメタ解析に含めた
この研究では、2020年1月から4月までの間に発表された論文を対象に、検討しています。
あらかじめ定められたルールに従って論文を厳選し、評価する価値のある論文だけを対象にメタ解析を実施しています。
メタ解析:特定の臨床上の疑問に答えるために、あらかじめ定められた方法に基づいてもれなく収集した論文の結果を、統計学的に統合する解析手法。科学的根拠のレベルが高いとされています。
全体の背景は、平均年齢が5.5歳、58%が男の子の患者でした。
86.4%の子どもたちが新型コロナウイルスに感染した家族から感染していました。
新型コロナウイルスに感染した子どもたちのうち、2割弱は症状がなかった
子どもの感染者の17.4%(95%信頼区間:CI =9.1~27.3)が症状のないことが明らかになりました。
発熱は51.2%(95%CI = 40.2-62.2)、咳は(37.0%、95%CI = 25.9-48.8)に認め、これらが最も多くみられる症状でした。
このほか、鼻水・鼻詰まりが9.9%、のど痛が8.3%、嘔吐、下痢、腹痛が7.4%、に認められました。
なお症状がないのに、レントゲン上で肺炎を認めた子どもが19%もいました。
子どもの患者で最も頻度の高かった臨床検査値の異常は、白血球減少症/リンパ球減少症(28.9%、95%CI = 19.5~39.2)およびクレアチンキナーゼ増加症(20.1%、95%CI = 1.3~49.9)でした。
今回の対象となった論文では、371人の患者さんが含まれていますが、集中治療室に入院する必要があったお子さんは5人、亡くなったのは2名でした。
やはり子どもの新型コロナウイルス感染は、軽く済むことが多いことは間違い無いようです。
ただ症状のないのに20%近くはレントゲンで異常があったのは驚きです。症状をうまく伝えることができなかったのかもしれませんが、症状を感じるほどのレベルではなかったのかもしれません。
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