子どもの新型コロナウイルス感染は軽く済むことが多いようですが、ウイルスに感染していないのでしょうか?今回は、Age-related differences in nasopharyngeal Severe Acute Respiratory Syndrome Coronavirus 2 (SARS-CoV-2) levels in patients with mild to moderate coronavirus disease 2019 (COVID-19)の紹介します。今回のこの調査により、実は5歳未満の子どもたちは、それ以上の年齢の人たちよりも10~100倍のウイルスがいる可能性があることがわかりました。
出典:Heald-Sargent T, Muller WJ, Zheng X, et al. Age-related differences in nasopharyngeal Severe Acute Respiratory Syndrome Coronavirus 2 (SARS-CoV-2) levels in patients with mild to moderate coronavirus disease 2019 (COVID-19). JAMA Pediatr. Published online July 30, 2020. doi:10.1001/jamapediatrics.2020.3651
新型コロナウイルスにかかった子どもたちは軽症で済むのはウイルス量が少ないからなのか?
この問いに答えるため、シカゴの子ども病院、その関連施設で調査が行われました。
2020年3月23日〜4月27日、シカゴの3次医療施設の外来、入院、救急外来、またドライブスルー検査地などで鼻の粘膜から検体を集めています。
症状が始まってから1週間以内の軽症〜中等症の145人が対象です。内訳は、5歳未満の乳幼児が46人、5~17歳の子どもが51人、18~65歳の成人が48人です。
この3つの群で、Ct値というものを比較しています。
Ct値はThreshold Cycleのこと。検体に含まれているウイルス量を類推することができ、この数が少ないほど、ウイルス量が多いことを意味しています。ベースラインからターゲットとする値までに到達するために、何回PCRの増幅サイクルを繰り返す必要があるかを意味しています。(サイクルが少ないということは、もともとの量が多かったということになります)
5~17歳の群はCt値は11.1 [6.3-15.7]、成人の群では11.0 [6.9-17.5]と双方の値はほぼ同じでした。
ところが乳幼児の群のCt値は、6.5 [4.8-12.0]と統計学的に有意に低い値になっていました。
ここから分かったことは、同じ軽症〜中等症であっても、子どもの方がウイルス量が多く、かつ10倍から100倍になるい可能性が高いということです。
また症状とそれぞれの群のCt値の相関関係を調べたところ、弱い相関関係しか認められませんでした。
分かったこと:子どもは軽症〜中等症でも、新型コロナウイルスの量を多く持っている可能性がある
ウイルス量が多いということは、ウイルスがいることの意味しているだけで、感染の程度が強いということではありません。
ただその分、他の人に広める可能性が高くなります。
新型コロナウイルスの感染拡大をコントロールするためには、乳幼児の感染コントロールをすることが重要になってくるのかもしれません。
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