遠隔診療においては抗生物質が多く処方されてしまう?

小児救急医のキモ

ウィズコロナの時代を迎え、これから遠隔診療がどんどん活用されていく可能性があります。小児の遠隔診療ではどのような特徴があるのでしょうか?子どもの呼吸器感染症に焦点を当てて調べた調査です。

Foster CB, Martinez KA, Sabella C, et al. Patient Satisfaction and Antibiotic Prescribing for Respiratory Infections by TelemedicinePediatrics September 2019,  144 (3) e20190844; DOI: https://doi.org/10.1542/peds.2019-0844

急性呼吸器感染症に対する成人の遠隔診療における患者満足度の重要な決定要因は、抗生物質の処方です。しかし、子どもの遠隔診療時の抗生物質の処方の頻度、および抗生物質の処方と患者満足度との関係については、情報は限られています。

遠隔診療における抗生物質の処方の頻度や保護者の満足度について調査した

医師と患者と直接接触をしない遠隔医療相談(DTC)について調査をした。特に、呼吸器感染症(RTI)の患者診療をビデオのみのDTC遠隔医療で行った際の抗生物質の処方について検討しました。

全国のDTCプラットフォームからデータを取得しました。

患者および医師の要因による抗生物質の処方のばらつき、および抗生物質の処方と受診期間、または患者満足度との関連を評価しました。

抗生物質を処方すると、保護者の満足度が高かった!

560人の医師による呼吸器感染診療12 842件のうち、55%で抗生物質が処方されていました。

抗生物質が処方された場合、医師は親から5つ星の評価を受ける可能性が高くなっていました(93.4%対80.8%)。

5つ星の評価をうけることは、抗生物質の処方(オッズ比[OR] 3.38;95%信頼区間[CI] 2.84~4.02)、抗ウイルス薬(OR 2.56;95%CI 1.81~3.64)、または非抗生物質(OR 1.93;95%CI 1.58~2.36)と関連していました。

非小児科医と比較して、小児科医は抗生物質を処方する頻度は低くなっていました(OR 0.44;95%CI 0.29~0.68)。しかし、小児科医はより高い満足度評価を受けていました(OR 1.50;95%CI 1.11~2.03)。

結論:呼吸器感染症に対する遠隔医療では、小児患者は抗生物質を多く処方され、受診満足度と関係していた

呼吸器感染症に対する遠隔医療では、小児患者は頻繁に抗生物質を処方され、受診満足度と相関していました。

小児科医は他の医師に比べて抗生物質の処方率は低くなっていましたが、満足度は高かくなっていました。遠隔医療時の抗生物質の使用が、診療ガイドラインと一致していることを確認するためには、さらなる研究が必要でしょう。

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