子どもの異物誤飲:最近の傾向はどうなっているのか?

小児救急医のキモ

時代が移り変わると、子どもたちを取り巻く環境は大きく変わります。子どもの周囲にあるものが変われば、それに合わせて子どもに生じる事故も変わる可能性があります。今回は、米国での過去20年間のデータを元に、異物誤飲の傾向がどのように変化してきたのかを調べた研究です。

Orsagh-Yentis D, McAdams RJ, Roberts, KJ, et al. Foreign-Body Ingestions of Young Children Treated in US Emergency Departments: 1995–2015. Pediatrics May 2019,  143 (5) e20181988; DOI: https://doi.org/10.1542/peds.2018-1988

過去20年間の外傷サーベイランスシステムからのデータを解析しました

1995年から2015年までに、異物誤飲が懸念されて治療を受けた6歳未満の小児について、National Electronic Injury Surveillance Systemのデータを用いて後方視的に分析を行いました。

レビューされた実際の症例29,893例から、全国推定値を作成しています。

20年間で76万人近い乳幼児が、異物誤飲として評価を受けていたと推測されました→過去20年間で発生率は90%以上増加していました!

これらの症例に基づいて、759 074人の6歳未満の小児が、調査期間中に救急科で異物誤飲としての評価を受けたと推定されました。

小児1万人当たり、年間の異物誤飲の発生率は、1995年の9.5から2015年の18へと、91.5%増加していました(R2 = 0.90;P < 0.001)。

全体的に、男児の方が異物を誤飲する頻度が高く(52.9%)、1歳児(21.3%)でも同様に、男児の方が異物を摂取する頻度が高かくなっていました。

ほとんどの子どもは、異物の誤飲が疑われた後に退院することができました(89.7%)。

硬貨、おもちゃ、宝石類、電池が多い誤飲物質でした

誤飲した物の種類では、硬貨が最も多く誤飲されていました(61.7%)。

以下、おもちゃ(10.3%)、宝石類(7.0%)、電池(6.8%)が続きました。

これらの製品の誤飲率も、過去21年の間に大きく上昇しています。

すべての年齢層で、最も多く誤飲されたのは硬貨(65.9%)でした。

電池に限れば、ボタン電池が最も多く摂取された電池でした(85.9%)。

異物誤飲は6歳未満の子どもに依然として多く、その誤飲率は時間の経過とともに増加していることがわかりました。

この研究で指摘された異物誤飲の発生頻度は、これらの誤飲を予防する最善の方法を決定するための研究の必要性を強調しています。

コメント

タイトルとURLをコピーしました