アメリカでは、毎年約 3500 人の 1 歳未満の乳児が突然、予期せずに死亡しています。これまでの研究では、妊娠中の母親の喫煙が乳幼児突然死(SUID)の危険因子として明らかになっています。しかし、妊娠前の母親の喫煙との関係は明らかではありませんでした。今回はこの疑問に対して答える研究です。
Anderson TM, Lavista Ferres JM, Ren SY, et al. Maternal Smoking Before and During Pregnancy and the Risk of Sudden Unexpected Infant Death. Pediatrics April 2019, 143 (4) e20183325; DOI: https://doi.org/10.1542/peds.2018-3325
2万件近い乳幼児突然死の事例を検証しました
米国疾病対策予防管理センター(Centers for Disease Control and Prevention)の出生コホートにリンクした出生/乳児死亡のデータセット(2007~2011 年:20 685 463 件の出生、19 127 件の SUID)を分析しました。
SUIDは、国際疾病分類第10改訂コードR95(乳幼児突然死症候群)、R99(原因不明または原因不明)、またはW75(ベッド上での偶発的な窒息または絞殺)を有する1歳未満の死亡と定義されています。
母親の喫煙の有無で、乳幼児死亡のオッズは2倍も違っていた
SUIDのリスクは、妊娠中の母親の喫煙と喫煙しない間で2倍以上(調整オッズ比[aOR]=2.44; 95%信頼区間[CI] 2.31-2.57)増加していました。これは1日1本でも喫煙する母親をみています。
また、1日あたり1から20本のタバコを喫煙すると、SUIDの確率は、1本あたり死亡するオッズを0.07でオッズを増加させるていました。その関係は20本まで、線形でしたが、20本を超えると平坦化しました。
妊娠中に禁煙すると、死亡の危険性は激減・・妊娠前に禁煙することが重要
妊娠中に禁煙または喫煙を減らした母親は、喫煙を継続した人と比較して、乳幼児死亡のオッズを減少させました(減少:aOR = 0.88、95%CI 0.79-0.98;やめた:aOR = 0.77、95%CI 0.67-0.87)。
因果関係を仮定すると、米国におけるSUIDsの22%は妊娠中の母親の喫煙に直接起因する可能性がありました。
これらのデータは、妊娠前の禁煙の必要性を支持しています。
女性が妊娠中に喫煙しなければ、米国のSUID率は大幅に減少する可能性があります。
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