子どのへの絵本の読み聞かせが、子どもの言語能力の発達に重要であることは言うまでもありません。でも最近は紙の本ではなく、電子書籍が流通しています。小型で大量に持ち運びできる利点は、使いだすとよくわかります。でも絵本を電子書籍で読み聞かせると、子どもにどのような影響を与えるのでしょうか?そのような視点で行われた調査です。
Munzer TG, Miller AL, Weeks HM, et al. Differences in Parent-Toddler Interactions With Electronic Versus Print Books. Pediatrics April 2019, 143 (4) e20182012; DOI: https://doi.org/10.1542/peds.2018-2012
電子書籍を読み聞かせたとき、幼児と親の相互作用が印刷物と比較して異なるかは知られていません
これまでの研究では、印刷物に比べて電子書籍の読書中の親と幼児の間に対話的な相互作用が少ないことが報告されています。
しかし、市販のタブレット型の本を読んでいるときの親子の相互作用については記述されていません。
そこで、電子書籍と印刷物の読書時の親子の言語的および非言語的な相互作用を調査しました。
3つの書籍フォーマットを比較しました
3つの書籍フォーマット(効果音やアニメーションで強化された電子書籍、シンプルな電子書籍、印刷物)で読書をしている37人の親子を対象に、実験室での会話様式をビデオ撮影し、研究しました。
親(対話的、非対話的、テキスト読み、フォーマット関連、ネガティブなフォーマット関連指示、タスク外)と子ども(本関連、ネガティブ、タスク外)について、10秒間隔で言葉の発話をコード化しました。
共有ポジティブな感情と協調的な読書は、1~5の尺度でコード化しました(5=高)。
印刷物の方が親子の対話や子どもの発語が多かった
親子の対話(印刷版11.9; 強化された電子書籍 6.2 [P < 0.001]; シンプルな電子書籍 8.3 [P < 0.001])、テキスト読み(印刷版14.3; 強化された電子書籍 10.6 [P = 0.003];シンプルな電子書籍 14.4 [P < 0.001])が有意に多くなっていました。
幼児は、本に関連した発話(印刷物15.0;強化された電子書籍11.5 [P < 0.001]; シンプルな電子書籍12.5 [P = 0.005])、全ての発話(印刷物18.8;強化された電子書籍13.8 [P < 0.001]; 基本的な15.3 [P < 0.001])、および共同作業のスコア(印刷物3.1;強化された電子書籍2.7 [P = 0.004]; シンプルな電子書籍2.8 [P = 0.02])が、印刷物の本を読んでいるときに多く見られました。
親と幼児は電子書籍の方が言語が少なく、協調性も低くなっていました。
今後の研究では、親子のインタラクションをサポートするタブレットブックのデザインの具体的な方法を検討すべきであるでしょう。
親は電子書籍と比較して、印刷された本を読んだ場合、より多くの対話的な読書をしていました。印刷された本は、電子書籍に比べて、親子の読書体験の質が高くなっていました。
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