押しピンを飲み込んでも大丈夫なのか?一般的には先端が鋭利な場合は、内視鏡などを利用して摘出することが優先されます。今回は、過去のデータを見直し、実際に押しピンを飲み込んだ子どもに何が起こったのかを調べた研究です。
Yogev D, Mahameed F, Gileles-Hillesl A, et al. Hijab Pin Ingestions. Pediatrics June 2020, 145 (6) e20193472; DOI: https://doi.org/10.1542/peds.2019-3472
押しピン(Hijab Pin)を飲み込んだ思春期患者の症状、転帰、合併症などを調べました
思春期患者における押しピン(Hijab Pin)摂取の臨床症状、転帰、合併症の特徴を探り、介入の必要性のある危険因子を特定することを目的に調査が行われました。
原著ではHijab Pinと書かれています。これはイスラム教徒の女性が衣服を留めるときに使うピンのことを指すようです。日本では、一般的には押しピンと呼んでいるものに近く、針の長さが3.5cm以上あるものを対象にしています。
2007年から2018年の間に押しピン(Hijab Pin)の摂取が原因で、救急外来を受診した25歳未満の患者の診療録を後方視的に検証しました。また腸壁に埋没したピンとそうでない状態の比較を行いました。
1,558例の異物摂取の症例を検証し、そのうち、208例(13.3%)が押しピン(Hijab Pin)の摂取が原因で救急受診し、合計225例の押しピン(Hijab Pin)が摂取されていました。
患者の平均年齢は14.7±4.1歳で、88%が女児でした。
摂取から受診までの時間は24±49.5時間でした。
18.6%が腸管壁に突き刺さっていましたが合併症はありませんでした:胃内にあることと腹部の圧痛のあることが独立した危険因子でした
ほとんどの押しピン(Hijab Pin)は胃内に位置し(46.6%)、全ピンの18.6%が腸管壁に突き刺さっていました。
初診時の押しピン(Hijab Pin)が胃内にあること(オッズ比=4.3 [95%信頼区間:1.9-9.2]; P < 0.001)および検査時の腹部圧痛(オッズ比=2.7 [95%信頼区間:1.3-5.6]; P = 0.007)が、押しピン(Hijab Pin)が突き刺さっているかの強力な独立した危険因子になっていました。
介入までの時間は22.9時間で、41件の内視鏡検査が行われ、1人の患者が腹腔鏡手術を必要としました。
合併症は観察されなかった。
押しピン(Hijab Pin)は小児科診療においてまれに遭遇する異物です。
その特異な臨床的特徴は、他の鋭利な物体と異なっています。
選ばれた患者への介入アプローチを遅らせても合併症のリスクは高くならず、既存のガイドラインと比較して介入回数は有意に少ない。
押しピン(Hijab Pin)を摂取した患者を保存的に管理することで、合併症の発生率を高めることはない
押しピン(Hijab Pin)を摂取した患者を保存的に管理することで、合併症の発生率を高めることなく、内視鏡検査の実施率を低下させることができることがわかりました。
腹部圧痛は、どの患者が内視鏡治療を受けるかについて、貴重な臨床的手がかりとなる可能性があります。
コメント