「子どもは新型コロナウイルス感染の重症化リスクが低い」は本当?

新型コロナウイルス

「子どもは新型コロナウイルス感染の重症化リスクが低い」〜確かに重症化リスクは低い

世界中の複数の国からでたデータをもとに、7,780人の子どもの感染状況をまとめた論文(Hoang A, Chorath K, Moreira Axel, et al. COVID-19 in 7780 pediatric patients: A systematic review. EClinical Medicine. 2020;24:100433)からの情報です。

子どもの新型コロナウイルス感染症の死亡率は0.09%

2020年6月に発表された、”COVID-19 in 7780 pediatric patients: A systematic review”によると、子どもの感染者の死亡者は7人(0.09%)しかいませんでした。

この論文では、2019年12月から2020年5月までの間に、世界中で発表された子どもの新型コロナウイルス感染に関係する全ての論文を検索しました。

26か国から131編の論文が発表されていて、合計で7,780人の子どもの患者の情報が含まれていました。26か国の内訳は、中国とアメリカが圧倒的に多く、その他スペイン、フランス、イタリアなどのヨーロッパの国々、また韓国、ベトナム、マレーシアなどアジアの国々も含まれています。日本からの報告も1つ含まれていました。

新型コロナウイルスに感染した子どもの約20%は症状がなかった!

感染した子どもたちの症状について確認したところ、発熱が59.1%と最も多く、次に咳が55.9%でした。しかし全体の19.3%の子どもたちは、症状がありませんでした。

子どもたちの多くは、家族から感染していました(75.6%)。

病院の平均在院日数は11.6日で、重症化して集中治療室に行く必要があった子どもは、3.3%しかいませんでした。

新型コロナウイルスに感染し重症化した子どもたち:多系統炎症性症候群は11人

集中治療室に行く必要があった子どもたちが、少数ながらいました。

人工呼吸器が必要となった子どもは42人(0.54%)いました。

川崎病に似た症状が出るとされている小児多系統炎症性症候群の子どもは11人(0.14%)いました。ただ、この数は実際よりも少なく見積もられている可能性があります。というのも、報告した医師たちがこの病気を認識しておらず、報告に含めていない可能性があるからです。

小児多系統炎症性症候群(MIS-C: Multisystem Inflammatory Syndrome in Children)は、新型コロナウイルス感染症に伴う熱や咳などの症状に加えて嘔吐、下痢、腹痛などの消化器の症状、発疹、結膜炎、唇のひび割れ、手足の腫れなどの症状も出ることが知られています。アメリカでは2020年7月末の時点で、約600人の報告があり、10人が死亡したとされています。

まとめ

理由がまだ十分に理由が解明されていないとはいえ、子どもたちが重症化するリスクが低いということは、希望が与えられます。

ただ一方で2割近い子どもたちに症状がなかったことは、症状のない子どもたちが感染を広める可能性を示唆しています。また子どもたちの生活の場である家庭が、主な感染源となっていたことは、保護者や他の兄弟が持ち込んでいたことを示唆します。

いずれにしても、私たちは気を緩めることなく、三密を避け、手洗いの励行するなどの感染防御対策は続けるべきですね。

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