無症状の子どもが新型コロナウイルスを拡散させている?

新型コロナウイルス

子どもは、新型コロナウイルスに感染しにくい、感染しても重症化しにくいと言われています。ところが子どもが感染を広げている可能性があることが報告されました。一体どういうことなのでしょうか?アメリカ、ボストンからの報告です。

Yonker LM, Neilan AM, Bartsch Y, et al. Pediatric SARS-CoV-2: Clinical Presentation, Infectivity, and Immune Responses. The Journal of pediatrics. 2020 Aug 18; pii: S0022-3476(20)31023-4.

マサチューセッツ総合病院を受診、あるいは入院した192名の子どもたちを精査した

年齢0~22歳の子どもたちで、マサチューセッツ総合病院(MGH)のクリニックを受診して新型コロナウイルスを疑われた、あるいは新型コロナウイルスと診断された・多系統炎症性症候群(MIS-C)のために入院した子どもたちを対象にしています。

子どもたちは、鼻咽頭や口腔咽頭のスワブ、および/または血液検体を提供しています。新型コロナウイルスのウイルス量や 新型コロナウイルスの血液検査を行なっています。

合計192名の子どもが対象です(平均年齢10.2±7歳)。

このうち49人(26%)の子どもが急性新型コロナウイルス感染症と診断され、さらに18人(9%)がMIS-Cの基準を満たしていました。

急性新型コロナウイルスに感染した子どものうち発熱を示したのは25人(51%)のみで、新型コロナウイルス感染症の症状がある場合は非特異的でした。

重症成人よりも大量のウイルスが、症状が出て2日目の軽症の子どもから検出されました

鼻咽頭ウイルス量は、症状が出てから最初の 2 日間の子どもで最も高く、重症の入院した成人よりも有意に高くなっていました(P = 0.002)。

年齢はウイルス量に影響しませんでしたが、低年齢の子どもではACE2発現が低くなっていました(P=0.004)。

重症MIS-Cでは、SARS-CoV-2スパイク蛋白質の受容体結合ドメイン(RBD)に対するIgMおよびIgGが増加し(P<0.001)、体液性反応の調節障害が認められました。また重症MIS-C患者では、新型コロナウイルスだけでなく、他のコロナウイルスやインフルエンザウイルスなどに対する抗体反応も上昇していることが明らかになりました。

子どもが新型コロナウイルスを広める可能性があることを意味しています。

本研究により、子どもは軽症であっても、症状がなくても、新型コロナウイルスの感染源となる可能性があること、また、重症のMIS-C感染後の免疫異常が関与していることが明らかになりました。

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