子どもの下痢に新しい治療法?胃薬の効果を紹介します

小児救急医のキモ

子どもの下痢は、小さい子どもによくみられる症状です。あまり効果的な薬はなく、水分を補給して様子を見ることが一般的です。でもこれまでにない発想で、胃薬を使って下痢を治療した調査が発表されました。日本でも市販薬として購入できる薬です。今後の治療の選択の幅が広がるかもしれません。

Uwaezuoke S, Ndu IK, Eneh CI, et al. A short course of oral ranitidine as a novel treatment for toddler’s diarrhea: a parallel-group randomized controlled trial. BMC Pediatrics. 20, Article number: 380 (2020) 

乳酸菌による治療とH2ブロッカーによる治療の効果を検証した

子どもの下痢を治療するため、現在は、食事の変更と水分補給が中心です。

これまでの研究では、乳酸菌を使うことで下痢の期間が短くなることが報告されています。

本研究は、子どもの下痢の治療におけるラニチジン(市販薬にもなっている胃薬)とプロバイオティクスの短期コースの有効性を比較することを目的としています。

並行群間無作為化比較試験(RCT)を行いました。

適格基準を満たした40名の患者を順次登録していました。

20名を経口ラニチジン群、10名をプロバイオティクス群、10名をプラセボ群に無作為に割り付けています。

ラニチジン経口投与群ではラニチジン(3mg/kg/日)を1日1回10日間内服,プロバイオティクス群とプラセボ群ではラクトバチルス・ラムノサス(Lactobacillus rhamnosus)を凍結乾燥したものを1日50~100億~100億個のコロニー形成単位(CFU)で,ビタミンC錠を1日1回50mgを10日間内服しました。

介入10日目の排便回数と便の性状を主要アウトカムとしています。

ラニチジン群が早期に症状を改善しました!

ラニチジン群では、便の頻度は介入初日の1日あたり平均5回から、介入10日目には1日あたり平均約1回へと有意に減少しました(p < 0.001)。さらに、便の性状は、介入10日目に正常化しました。

プロバイオティクス群では、便の性状は緩やかなままでしたたが、便の頻度は初日の平均5回/日あたりから10日目には4回/日あたりまで有意に減少しました(p = 0.041)。

しかし、プラセボ群では、便の性状と頻度に有意な変化はありませんでした(t = 1.964、p = 0.072)。

結論:経口ラニチジンは下痢の回数や便の性状を早期に改善し、乳酸菌よりも効果がありました

経口ラニチジンは、幼児の下痢において、便の頻度を減らし、便の状態を正常化するのに、プロバイオティクスよりも効果的でした。

ラニチジンは、H2ブロッカーという薬で、胃酸を減少します。ザンタックとの名前で、処方箋なしで購入できる薬です。

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