私たちの鼻のなかには多くの細菌が生息しています。MRSAという耐性菌の伝搬に、鼻のなかに生息する細菌が影響することが知られています。最近はその他、喘息発作にも影響するかもしれないことが知られています。今回は鼻のなかの細菌の種類の変化と喘息発作の関係について調べて調査です。
Toivonen L, Karppinen S, Schuez-Havupalo L, et al. Longitudinal Changes in Early Nasal Microbiota and the Risk of Childhood Asthma. Pediatrics October 2020, 146 (4) e20200421; DOI: https://doi.org/10.1542/peds.2020-0421
鼻腔内微生物の種類の縦断的変化と喘息発症リスクとの関連を調べました
気道に存在する微生物の集団は、高度にダイナミックな生態系ですが,幼児期の気道の微生物の種類の縦断的変化が喘息発症に果たす役割は不明です。
今回は、初期の鼻腔内微生物の種類の縦断的変化と喘息発症リスクとの関連を調べることを目的としています。
この前向きな集団ベースの出生コホート研究では,出生時から 7 歳までの小児を追跡しました.
2 歳、13 歳、24 ヵ月の時点で 、16S リボソーム RNA 遺伝子シークエンシングを用いて鼻腔内微生物叢の検査を行いました。
2~13か月齢(一次曝露)と2~24か月齢(二次曝露)の間の縦断的な鼻腔内微生物叢のプロファイルを同定し、これらのプロファイルと7歳時の医師による喘息診断リスクとの関連を検討しました。
8%が喘息を発症。鼻腔内細菌の種類の縦断的パターンの変化と喘息発症のリスクが関係していた
解析対象となった704人の子どものコホートのうち、57人(8%)が後に喘息を発症しました。
また2~13ヵ月の間に、縦断的に4つの異なる種類の鼻腔内微生物のプロファイルを同定しました。
多変量解析では、生後2~13か月の間の持続的なモラクセラ菌優位性プロファイルと比較して、持続的なモラクセラ菌疎分散性プロファイルは、喘息の有意に高いリスクと関連していた(修正オッズ比、2.74;95%信頼区間、1.20~6.27)。
2歳から24ヵ月間の鼻腔内微生物叢の縦断的変化と喘息リスクとの間にも同様の関連が観察されました。
幼児期に鼻腔内細菌の種類の縦断的パターンが変化した子どもは、喘息発症のリスクが高くなっていました。
今回のデータは、小児喘息の一次予防戦略(例えば、高リスクの子どもの早期同定と微生物叢の修正)の開発を導いています。
これらの観察は、喘息のリスク修正(例えば、微生物叢の修正)のための新たな道筋を提示しています。
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