アメリカでは、2%の子どもが祖父母の育てられているそうです。もちろん理由は様々でしょうが、祖父母に育てられることが、子どもの精神的発達にどのような影響を与えているのかについては、何も知られていません。今回は、この影響について調べた研究です。
Rapoport E, Muthiah N, Keim SA, et al. Family Well-being in Grandparent- Versus Parent-Headed Households. Pediatrics. 2020, 146 (3) e20200115; DOI: https://doi.org/10.1542/peds.2020-0115
全米の子どもの健康調査データを用いて調査した
2016年、2017年、および2018年の全国子ども健康調査(National Survey of Children’s Health)から得られた3歳から17歳までの子どものデータセットを用いて、幼少時のネガティブな経験(Adverse Childhood Experience)、ADHD、子どもの気質、および養育者の子どもとの交流への対応について調べました。
祖父母に育てられた子どもたちは、より多くのネガティブな経験をし、ADHDになる可能性が高かった
80 646世帯(祖父母が養育した世帯2407、親が養育した世帯78 239)のうち、祖父母が養育した世帯の子どもは、より多くのネガティブなを経験していた(β=1.22、95%信頼区間[CI]:1.07~1.38)。
祖父母が養育した世帯の就学年齢および学齢期の子どもはADHDを有する可能性が高かった(調整オッズ比=4.29、95%信頼区間[CI]:2.22~8.28;調整オッズ比=1.72、95%信頼区間[CI]:1.34~2.20)。
またこれらの世帯の学齢期の子どもは気性が荒く(βadj = 0.25、95%CI:-0.63~1.14)、その養育者は激怒することをより多くを経験していました(βadj = 0.29、95%CI:0.08~0.49)。しかし、これらの差は、サンプルからADHDを持つ子どもを除外した後には検出されませんでした。
祖父母が養育した世帯と親が養育した世帯の間では、介護者の対処、感情的支援、または子どもとの交流について差は認められませんでした。
祖父母に育てられた子どもは、発達の問題が大きく、気質が荒いことが多かった。しかしこのような子どもの世話をしているにもかかわらず、祖父母の介護者は親と同じくらいの子育てに対処しているようでした。
今回の調査で分かったこと:米国を代表する大規模なサンプルにおいて、注意欠陥/多動性障害と幼少期のネガティブな経験が、祖父母が養育した世帯と親が養育した世帯の間で観察された、行動と発達の格差のいくつかの原因となっているように思われます。介護者の対処と感情的支援には差は見られませんでした。
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