母乳中のコレステロールは、粉ミルクに比べて高医ことが知られています。この高いコレステロールを赤ちゃんが飲み続けること、成人期のコレステロール値に影響を与えるかどうか、またどのように影響するかについては、十分に理解されていません。今回の調査は、その疑問に答えを与えてくれるものです。
Hui LL, Kwok MK, Nelson AS, et al. Breastfeeding in Infancy and Lipid Profile in Adolescence. Pediatrics May 2019, 143 (5) e20183075; DOI: https://doi.org/10.1542/peds.2018-3075
完全母乳あるいは粉ミルクで育てられた香港の3,261人の子どもたちをフォローしました
母乳は粉ミルクよりもコレステロールが高い。
母乳で育てられた乳児は、乳児期のコレステロール合成および代謝が、粉ミルクで育てられた乳児とは異なります。
母乳で育てられた乳児が、体脂肪率とは無関係に、その後の脂質プロファイルと関連しているかどうかについては、ほとんど知られていません。
そこで、完全母乳育で育てられた児の、乳児期初期及び17.5年後の脂質プロファイルや脂肪率との関連を評価しました。
多重入力と逆確率重み付けを用いた多変量線形回帰を用いて、生後3ヶ月間の授乳(専ら母乳育児[7.5%]、混合給餌[40%]、または常に粉ミルクを与えていた[52%])と、∼17.5年後の脂質および脂肪率との関連を検討しました。
1997年の香港中国人の出生コホート3261人の、性別、出生体重、妊娠週数、平価、妊娠特性、両親の最高学歴、母親の出生地のデータを集め、かつ追跡調査時の年齢を調整しました。
母乳で育てられた児は、LDLコレステロールの低下を認めたが、HDLや体脂肪率への影響は認めなかった
0~3ヶ月間だけでも完全母乳育児を行うと、総コレステロールと低密度リポ蛋白コレステロール(LDL)は低下していました。
17.5歳の時点では、高密度リポ蛋白コレステロール(HDL)は低下していませんでした。
BMIとバイオインピーダンスによって測定された体脂肪率は、乳児期の食事の種類によって異なることはありませんでした。
乳児期初期の完全母乳育児は、心血管系の健康を長期に維持するために良い影響を与える可能性が示唆されました。
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