インターネットは、もはや私たちの生活に欠かせないものになっています。子どもたちも、小学校でPCやモバイル端末を使い、ネットを通して様々な情報にアクセスする時代です。そして節度を守ってネット利用ができないネット中毒の子どもたちが増え、社会問題となりつつあります。今回は日本の中学生の現状を調査した、貴重な報告です。
Kawabe K, Horiuchi F, Nakachi K, et al. Pediatrics international : official journal of the Japan Pediatric Society. 2020 Aug;62(8);970-975. doi: 10.1111/ped.14250.
2014年と2018年における中学生のネット依存の程度を評価した
インターネット中毒は深刻な問題であり、近年その発生率は著しく増加していると言われています。
そこで、4年間にわたる2つの横断的研究において、日本の中学生のインターネット依存の状況を調査しました。
中学生(12~15歳)を対象に、2014年(調査Ⅰ)と2018年(調査Ⅱ)に評価を行いました。
彼らは、ネット依存テスト(Young’s Internet Addiction Test: IAT)、日本語版の一般健康状態質問表(General Health Questionnaire)、睡眠習慣と電気機器の使用に関する質問票に記入しました。
中学生のネット依存度は、4年間で有意に上昇していた
合計で1,382名の中学生が2つの調査に含められました。
平均IATスコアは、調査I(32.4±13.6)に比べて調査II(36.0±15.2)の方が有意に高くなっていました(P < 0.001)。
IATの合計スコアの増加は、インターネット中毒の中学生の割合が、2014年よりも2018年の方が有意に高かったことを示しています。
一般健康状態質問表の回答を見ると、社会的機能不全スコアは調査 II で調査 I に比べて有意に低くなっていました(P = 0.022)。
週末の平均総睡眠時間は504.8±110.1分、起床時間は調査IIで08:02時間でした。
総睡眠時間と起床時間は、調査IIでは調査Iに比べてそれぞれ有意に長く、遅くなっていた(それぞれP<0.001、P=0.004)。
また、スマートフォンの使用も調査Iよりも調査IIの方が有意に高くなっていました(P < 0.001)。
中学生のスマホの使用度、健康状態ともに悪化していた
インターネット中毒の有病率は、4年間で上昇していました。スマホの使用率、健康状態も悪化していることがわかりました。
また中学生の週末の睡眠時間は長くなり、夜寝る時間が遅くなっていく傾向がありました。
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