新型コロナウイルス感染対策として自宅待機となった子どもたちの精神面には、どのような影響があったのか?

新型コロナウイルス

新型コロナウイルスの感染拡大を防止するため、多くの教育機関は休校になり、子どもたちは外に遊びにも行くことも制限されました。そのような非日常は、子どもたちの精神面にどのような影響を与えたのでしょうか?今回は、中国湖北省からの報告です。

Xie X, Xue Q, Zhou Y, et al. Mental Health Status Among Children in Home Confinement During the Coronavirus Disease 2019 Outbreak in Hubei Province, China. JAMA Pediatr 2020 Apr 24: e201619.

湖北省で1月〜4月に自宅待機となった2300人以上の学生に調査をしました

湖北省では、武漢市の生徒は2020年1月23日から、黄石市(武漢市から約85kmの都市)の生徒は2020年1月24日から自宅待機となりました。その後、黄石市の生徒は2020年3月23日まで、武漢市の生徒は2020年4月8日まで自宅に待機していました。

今回は、2020年2月28日から3月5日までの間に、湖北省の2つの小学校の2年生から6年生までの合計2330人の生徒(うち武漢市の生徒845人、黄石市の生徒1485人)に対し、アンケートに回答してもらっています。

調査は基本的な情報のほか、Children’s Depression Inventory-Short Form(CDI-S)およびScreen for Child Anxiety Related Emotional Disorders(Screen for Child Anxiety Related Emotional Disorders)で測定された抑うつ症状および不安症状が含まれています。

約20%の子どもたちに抑うつ症状や不安症状が認められました

生徒2330人のうち、男児は1012人(56.7%)いました。調査の回答率は76.6%でした。

この調査に回答した生徒は、平均(SD)33.7日(2.1日)の間、自宅に閉じこもっていました。

また抑うつ症状は 403 人(22.6%)、不安症状は 337 人(18.9%)に認められました。

武漢の生徒は黄石の生徒に比べてCDI-Sスコアが有意に高く(β、0.092[95%CI、0.014-0.170])、抑うつ症状のリスクが高くなっていました(オッズ比、1.426[95%CI、1.138-1.786])。

新型コロナウイルスの影響を受けることを、少しだけ心配している生徒、または心配していない生徒は、かなり心配している学生に比べてCDI-Sスコアが有意に低く、抑うつ症状のリスクが低下していました(オッズ比、0.521[95%CI、0.400~0.679])。

流行について楽観的ではなかった人は、かなり楽観的な人と比較して、CDI-Sスコアが有意に高く、抑うつ症状のリスクが高くなっていました(オッズ比2.262[95%CI、1.642-3.117])。

SARSの時も、子どもたちは精神的影響を受けていました

感染対策として自宅待機となったことで、屋外活動や社会的交流の減少が子どもたちの抑うつ症状の増加と関連していた可能があります。

2003年のSARS流行時は、中国の生徒に精神症状が認められたことがわかっています。これらの知見は、重篤な感染症が、他のトラウマ的経験と同様に、子どもの精神的健康に影響を与える可能性を示唆しています。

長期的な影響については、まだまだデータを集める必要がありますが、子どもたちを心身ともに健康な状態に保つことができるように、真剣に考える必要があります。

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