新型コロナウイルスの感染拡大を受け、世界各地でロックダウンが行われました。外出を規制され、子どもたちは室内でテレビ画面を見る時間が増えたことが指摘されています。その結果、子どもたちの健康への影響があったのでしょうか?今回の調査では、「子どものけいれんが増えたのか?」という疑問に答えるものです。
Palladino F, Merolla E, Solimeno E, et al. Is Covid-19 lockdown related to an increase of accesses for seizures in the emergency department? An observational analysis of a paediatric cohort in the Southern Italy. Near Sci. 2020 Oct 23;1-9. doi: 10.1007/s10072-020-04824-5. Online ahead of print.
ロックダウンとモバイルメディアデバイスの使用、睡眠や精神疾患への影響を調査した
世界保健機関(WHO)は、2020年3月11日に新型コロナウイルスの世界的大流行(パンデミック)を宣言しました。
また世界各地で都市封鎖(ロックダウン)が行われ、ウイルスを封じ込めようとしました。
このロックダウンは、多くの人たちのライフスタイルの変化を引き起こしました。特に、モバイルメディアデバイス(MMD)の使用の増加、睡眠と精神疾患の変化、食事と身体活動に関する習慣の変化などについて調査を行いました。
イタリアの救急室で調査を行いました
イタリアのロックダウン中に、救急室にけいれん発作のために受診した人の有病率を、前年の同時期(2019年)と比較して、いくつかのライフスタイルの変化との関係を調査しました。
イタリアのロックダウン中に救急外来に来院したけいれん発作の患者(4~14歳)を対象としています。
本研究では、新しく発症したけいれん発作の患者とそうでない患者の2つのグループについて調べています。また、モバイルメディアデバイス(MMD)の使用と睡眠習慣に関する質問もしています。
ロックダウン期間中はけいれん患者の頻度が増えたことがわかりました
57名の患者が対象となりました。
年齢の中央値は8.03歳でした。けいれん発作の発現率は2.6%(CI 95% 0.020-0.034)、過去の発現率は0.94%(CI 95% 0.006-0.0149)でした。このようん、過去の有病率との間には統計学的に有意な差がありました(p = 0.0001)。
また、全母集団において、ロックダウン前の期間とロックダウン中の期間で、1日のスクリーン時間(DST)(p=0.001)と総睡眠時間(TST)(p=0.045)に差があったことがわかりました。
DSTと発作のない期間の間には負の相関が認められました(スピアマンのρ -0.426、p = 0.038)。2つのグループでは、結果は部分的に重複していた。
結論としては、 ロックダウン期間中は、けいれん発作のために救急室を受診する頻度が増加することがわかりました。
その増加には、睡眠時間の変化やMMDの使用量の増加が発作の引き金となっている可能性が考えられました。
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