救急室において、その有用性が高まっている超音波検査。肺炎の診断にも活用できることが実証されています。今回は、特に乳幼児で重症化しやすい細気管支炎の診断に、超音波検査が活用できるかについて検証したものです。利用できることがわかれば、救急における診療の選択肢が増えますので、とても有益な情報になります。
San Sebastian Ruiz N, Albarran IR, Gorostiza I, et al. Point-of-care lung ultrasound in children with bronchiolitis in a pediatric emergency department. Arch Pediatr. 2020 Nov 5;S0929-693X(20)30223-2. doi: 10.1016/j.arcped.2020.10.003.
肺超音波検査を使い、細気管支炎の乳児の評価を行った
本研究では、細気管支炎を有する乳児に対して小児救急室(PED)で実施された肺超音波検査(LUS)の所見と呼吸サポートの必要性との関連性を検討しました。
2年連続の細気管支炎の流行期に、小児救急室で観察研究を実施した。
細気管支炎と診断された乳児の中で、対象基準を満たしている乳児を対象としています。
小児科医6名のグループで肺超音波検査(LUS)を実施し,肺所見を正常パターン(A),中等度間質パターン(B1),重度間質パターン(B2),孤立性コンソリデーション(C)の4群に分類しました。
肺超音波検査(LUS)所見と呼吸サポートの必要性との関係を別途検討しています。
結果を盲検化した専門の超音波検査士が、超音波検査の結果をレビューし、観察者間の信頼性を決定しました。
肺超音波検査の異常は、呼吸サポートの必要性と相関していました
合計200人の乳児(平均年齢5.7ヵ月±4.4SD)が含まれ、65人(32.5%)が中等度の臨床スコアを得ていたが、入院時に23人(11.5%)、48時間後に34人(17.0%)が呼吸サポートを必要としていました。
小児救急室(PED)における超音波検査所見は以下の通りでした。
A=89(44.5%)、B1=55(27.5%)、B2=34(17%)、C=22(11%)であった。
6週未満の年齢と中等度の細気管支炎は、肺超音波検査(LUS)異常と相関していました(P<0.005)。
間質性超音波パターンの重症度は、呼吸サポートの必要性の増加とある程度の相関がありました。
オブザーバー間の所見の一致率は高かくなっていました(0.95、信頼区間:0.92~0.98)。
肺超音波検査(LUS)は、細気管支炎の小児における臨床印象を確認し、呼吸サポートの必要性を評価するのに役立つ可能性のあるツールであるが、さらなる多施設共同研究が必要です。
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