子どもが甘いものが好きな理由は、甘さを感じ難いからであった?

子育て・ホームケア
Hans BraxmeierによるPixabayからの画像

子どもは一般的に甘いものが好きです。でもその理由が、子どもが甘さを感じにくいからだという仮説があります。大人に比べて甘さを感じにくいため、大人よりも甘みのつよい食べ物を食べてしまうのではないか、ということです。その疑問を解決するため、濃度の異なる砂糖水を使った研究です。

Petty S, Salame C, Mennella JA, et al. Relationship between Sucrose Taste Detection Thresholds and Preferences in Children, Adolescents, and Adults. Nutrients. 2020 Jun 29;12(7): E1918. doi: 10.3390/nu12071918.

年齢ごとに甘みの嗜好の変化を調べてみました

10歳未満(n = 108)、10歳以上(n = 172)、成人(n = 205)の3つのグループに分けて調査を行っています。

角砂糖1つ(4g)を8オンスの水(コップ1杯で約230mL)で薄めていき、参加者が甘味を感じ取れる限界のコップの杯数(甘味の検出閾値)、そして最も好まれるショ糖濃度を確認しました。

子どもは砂糖の濃度を上げなければ、甘みを感じなかった

10歳未満の子どもたちは、10歳以上の思春期の子どもたちよりも高いショ糖検出閾値(p < 0.001)を持っていました。

10歳未満の子どもたちが甘さを感じ取れる限界は、平均5杯のコップの水で砂糖を薄めた時でした。

それに対して10歳以上の思春期の子どもたちは、平均6杯の水で薄めた濃度まで感知でき、さらに成人は平均7杯まで薄めても甘味を感知できました。

つまり年齢が低いほど甘みを感じるために砂糖の濃度をあげる必要があり、子どもは成人に比べて、甘味を感知するのに約40%多い砂糖が必要であることを表していました。

好ましい砂糖の濃度は、子どもの方が大人より高くなっていました

最も好まれるショ糖濃度も年齢群の有意な差を認めました(p < 0.001)。

8オンスのコップの水に角砂糖を1つずつ溶かしていき、最も好ましいと感じる角砂糖の数を比較しました。その結果、10歳未満の子どもたちと10歳以上の思春期の子どもは平均12個、成人は平均8個が好ましいと感じる個数でした。

ちなみに成人が好ましいと感じた砂糖の濃度は、現在市販されている一般的なコーラに含まれる砂糖の濃度とほぼ同じ濃さだとのことです。

これらのデータだけを見ると、年齢が低いほど砂糖の甘さを感じにくく、好ましい砂糖の濃度が高くなっていることがわかります。

しかし、この研究ではこれらに加えて、甘みへの感受性と好ましいと感じる砂糖濃度を比べています。

その比較によると、甘みへの感受性と好ましい砂糖濃度には相関が認められませんでした。

つまり甘みへの感受性が低いために、多くの砂糖を必要とするとは言えない結果となりました。

甘味の好みは、実際のところどのようにして形成されていくのかわかりませんが、脳の報酬系の活動とその変化の影響を受けて変動するのかもしれません。

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