YouTuberが子どもたちにとって人気職業ランキングにあがる現代、SNSを通して情報発信するキッズインフルエンサーなる存在は、子どもたちに大きな影響を及ぼしている可能性は十分にあるでしょう。
その一方で不健康な食品の広告への暴露は、貧しい食生活と関連していること、また食品会社はソーシャルメディアの利用の増加に対応してオンライン広告を増加させていることがわかっています。
しかも幼い子どもたちは、広告の内容の是非を認識する認知能力が限られています。
そこで、キッズインフルエンサーが発信する情報に含まれる不適切ともいえる情報が、どの程度子どもたちの行動に変化を与えているのかについて調べて調査を見てみました。
参考にしたのは、以下の論文です。
Amaal Alruwaily, Chelsea Mangold, Tenay Greene, et al. Child Social Media Influencers and Unhealthy Food Product Placement. Pediatrics November 2020, 146 (5) e20194057; DOI: https://doi.org/10.1542/peds.2019-4057
キッズインフルエンサーの動画配信に含まれる飲食物の栄養の質を評価した!
キッズインフルエンサーがYouTubeの動画の中で食べ物や飲み物を宣伝する頻度を調べ、表示された食べ物や飲み物の栄養の質を評価することを目的とした調査です。
Socialbakers(AIを利用したソーシャルメディアのマーケティング情報源)のデータを使用して、2019年にYouTubeで最も視聴された5人のキッズインフルエンサー(3歳から14歳)を特定しました。
彼らの最も視聴された動画のうち50本と、動画のサムネイル画像に食べ物および/または飲み物が表示されている動画のうち50本を検索しました。
その動画を視聴し、キッズインフルエンサーが食べ物やおもちゃを消費したり遊んだりしたかどうかをコード化し、食べ物および/または飲み物が登場した分数を定量化し、ブランドの食べ物および/または飲み物の名前を記録しました。
さらに、栄養素プロファイルモデルを使用して食品の栄養の質を評価し、砂糖が添加された飲み物の数を特定しました。
食品を紹介する動画の多くは、不健康な食品とされているものでした
418本のYouTube動画のサンプルが検索条件に合致し、そのうち179本の動画で食べ物や飲み物が紹介されていました。
これらの動画の中で食べ物や飲み物が取り上げられた回数は291回でした。
子どものインフルエンサーのYouTube動画は、合計で480億回以上視聴され、食べ物や飲み物をとりあげた動画は、10億回視聴されていました。
ほとんどの食べ物や飲み物は、不健康な食品ブランドのものでした(n = 263; 90.34%; 例:マクドナルド)。
その一方で、健康的な食品(n = 9; 3.1%; 例:フルーツ)や健康的な食品(n = 7; 2.4%; 例:ヨーグルト)と極めて少数でした。
キッズインフルエンサーは、不健康な飲食品を動画で紹介することを通じ、子どもたちの健康に影響を与えている可能性があります
子どものインフルエンサーは、製品の動画で紹介することを通じて、子どもたちに不健康な食品や飲料品に対する何百万ものインプレッションを生み出していることがわかりました。
ほとんどの食品広告研究は、企業が制作したテレビコマーシャルやオンライン広告に焦点を当ててきており、このような研究は行われていませんでした。
今後さらなる情報の収集が必要ですし、広告に対する規制のなかにも組み込まれるような配慮が必要となるかもしれません。
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